外部卓話 茨城県立水海道第一高等学校校長 市川陽一郎様
2006年4月5日例会
進学重視型単位制高校の取り組み・・・月間高校教育8月号掲載記事より

 平成16年度に進学重視型の単位制高校としてスタートした。地域の進学校として、確固たる地位を築いてきた同校は、「立志の青年の育成、個に応じた教育、骨太の進学校」の基本方針の基に、全校を挙げて取り組んでいる。

 進学重視型単位制高校への切り替えについて、平成15年2月に県教委が『前編整備の前期実施計画』を策定し、前任の佐々木校長を先頭に新しい学校づくりに取り組んだ事が評価され、本校が平成16年度入学生から、普通科単位制高校に改編されることになった。

 さらにその背景には、@少子化による生徒減少と私立校との競合A都市化する地域社会の変動B入学志願者の減少Cつくばエクスプレス開通問題・・・などがあったという。同校の伝統である「自ら学び、自ら考える教育」、つまり明治期創立からの自主・自律の気風を育むよき伝統を生かしながら単位制へ脱皮しようとしている。

 単位制では、@立志の精神A個に応じた教育の推進B骨太の進学校作りを基本方針としてあげている。

 @では、高い目標をもち、社会貢献の意欲と実力のある青年の育成。国際化、高度情報化、少子高齢化、環境問題、経済の低迷・・・など課題の多い社会で自ら考え、行動し、たくましく生き、高い志(目標)をもった青年の育成。

 Aでは、1人ひとりの能力を開発し、自己実現を目指す教育の展開。興味関心の異なる一人一人が自分の適性、能力に応じて学習する。大学の専門分野とも接続する学習を通して、個性を磨き、人間として成長する。

 Bでは、文武両道・難関大学に現役合格できる進学校を目指す。生徒の7割以上が国公立大進学を希望している。5教科7科目を柱に据えた骨太の進学体制の教育課程で、難関大学現役合格のために、英語、数学、国語、理科、地歴・公民をしっかり学ぶ。

 さらにこれを実現するための具体的取組は、@2人担任制・・・・1クラスに2人の担任を配し、きめ細やかな指導を行う。特に単位制では、「何を選択するのか」が大きな課題になってくる。2人担任制は、科目選択制への対応でもある。

 A少人数学習・・・・基礎学力定着を図るために、1年次の英語、数学の授業は、2分割し、20人で学習する。また、3年次に発展的な科目(学校設定科目)を開講するが、これは大学の授業内容と結びつく高度な内容になる予定で準備中。これも10人以上で開講する。

 卒業までに111単位を修得・・・1学年37単位を履修するから、3年間には111単位を履修する事になる。

 単位制を実施して1年がたった。顕著に表れたのは、入学応募者の増加だ。定員280人に対して、平成13年度は277人、14年度は284人、15年度は359人、16年度は330人、17年度は330人。

 最後に、同校の卒業生は各界で活躍しているが、近衛内閣書記官長・司法大臣兼務の風見章氏、東大医学部教授を務めた免疫学の権威多田富雄氏、洋画家の安藤信哉氏など多彩な人材を輩出している。