登坂 寛会員卓話:2003年10月29日
職業分類:税理士
登坂税理士事務所

 皆さん、こんにちは。

 4月に入会してから半年が過ぎ、初めて卓話をさせていただくことになりました。
今回、何の話をするか、趣味の沖縄民謡の話にしようか、色々迷ったのですが、
初めてということで無難に仕事に関連した話をいたします。

 仕事に関連した話というと、当然、税金の話になるわけですが、今日は贈与税の話をさせていただきたいと思います。

 贈与税は、個人からの贈与により財産を取得した個人に対し、1月1日から12月31日までの間を課税期間とし、1年間に贈与を受けた財産の合計額から、基礎控除額110万円を控除した金額に対して10%から50%までの累進化税率をかけて贈与税額を計算して翌年3月15日までに申告納税しますが、今年の税制改革において、一定の贈与受贈者間の贈与については、納税者の選択により「相続時清算課税」制度の適用を受けることが出きるようになりました。

「相続時清算課税制度」とは、一定の要件のもとに、20歳以上の子(推定相続人である直系卑属)が65歳以上の親から贈与により財産を取得した場合には、その財産の価額の累計額のうち2500万円を越える部分については20パーセントの税率で贈与税を納付し、親が死亡した場合には、その贈与により取得した財産を相続財産に取り込み、贈与・相続により取得した財産のすべてを相続税の課税対象とすることにより、相続税の計算過程において、既に納付済みの贈与税を相続税と相殺し、清算することができる制度です。

 この制度における贈与税は、将来の相続税の前納としての性格を持った税金であるということが出来ます。

 贈与税は相続税の補完としての役割を持っていますので、相続税に比べ税負担が重くなるように制度化されていますので、相続による親から子への財産移転と、生前贈与による財産移転では後者の税負担が極端に重くなっています。

 このため贈与税は世代間の財産移転の障害となっており、経済の活性化を阻害する要因となっているとも言われています。2500万円までは贈与税がかからずに財産が移転できるため、親から子への財産の早期移転を促進する為に設けられた制度が「相続時清算課税制度」です。

 ただし、この制度により贈与された財産は、すべて相続税の課税財産となりますので、相続財産が多額の投資家に関しては、従来の暦年課税により地道に財産を移転させていったほうがトータルの税負担が少なくなる場合もあり、相続税の課税財産となる価格は贈与時の価格なので、将来値上がりする可能性のある財産に関しては有利ですが、将来値下がりする財産に関しては税負担が重くなる可能性もあります。

 この制度をいったん選択すると、その選択した贈与者からの贈与はすべて、この制度が適用されますので、つまりキャンセルがききませんので、選択する場合はすべての財産を把握して、有利不利をよく吟味した上で選択しないとなりません。

 関心のある方は専門家によくご相談の上、決断していただきたいと思います。

 初めての卓話と言うことで、大分固い内容の話になってしまいましたが、以上で終わります。御静聴、ありがとうございました。