田上秀雄会員卓話:2000年9月13日 
 
職業分類:貨物運送事業
十和運送(株) 代表取締役
 「流通からロジステックへ」

 私自身流通のことしかあまり分かりませんので、今日は「流通からロジステックへ」というテーマでお話させていただきます。

 バブル崩壊と共に土地や株に神話が崩れ、経営が激動した結果、環境が激しく変動しているのが現状ではないかと思います。

 そういう中で需要と供給のバランスが崩れ、供給が需要を上回っている状況です。また製品の寿命が短命化し、他品種製品が多く生産されるようになっております。

 そのために、メーカーは在庫を多く持ちすぎると資本回転が鈍くなります。そこでキャッシュ化と資本回転率アップにより高収益回復をつくり、経営の安定化を図るべく、企業内努力をしているのが現実です。

 企業にとって資本の回転は、経営上最も重要な課題になるのではないかと思われます。運送業及び倉庫業界では今までメーカー及び販売店に協力する運送・倉庫業でなければならなかったし、また運送は運ぶだけ、倉庫は保管するだけでした。

 しかし、それでは流通業界に遅れをとることになり、今までの物を運ぶだけの流通から今後はロジステック即ちトータル物流で回転をあげることが主流になって進めているのが現状です。

 ロジステックとは生産、販売、情報、保管、利益、輸送のトータル物流により回転を上げることであります。そこで、物流の考え方が問題となる訳ですが、従来運送の一般的な概念として、運び方、運ぶ費用といった運ぶことに限定され、物流コストは運賃だけと捉え、物流改善は運賃を下げるといった考え方だけでした。

 しかし、今後の考え方では物流は運営+生産+物流間の形態を極力排除していくことに主眼をおき、企業全体の流れをつくりリードタイムを短縮することが主要な役割であると私自身考えております。

 ここで物流の移り変わりを述べてみます。
@個別活動の時代(S40年前半まで)・・・
物流の概念なく輸送・保管・利益導入等個別に参入。

A物流システム化の時代(S40年代後半)・・・
物流の概念が生まれ、各活動を組み合わせシステムとして改善された。物流センターや新しい流通機関の誕生。物流機器などの採用。

B物流管理の時代(S60年代)・・・
物流マネージメントが重視され、情報ネットワーク、物流コスト、物流管理組織の掲示など、物流の再構築がされた。

C物流の新しい時代(現在)・・・
 物流の格差が企業の競争力の差となる時代になり、戦略的物流、社会への適合、そしてロジステック時代へと突入。

 物流の幕開けともいうべき、この時代に運送業界のするべき働きは、よりいっそうの効率化の追求、物流品質の向上、物流ネットワークの構築、リードタイムの短縮、共同輸送の推進、IT情報化の運用等、多くの課題が課せられています。

 私自身この新しい時代に乗り遅れないよう、これ等を取り入れて会社の運営を進めて行きたいと考えております。