鈴木 豊会員卓話:1999年5月12日
職業分類:土地家屋調査士  
(有)ワイ・エス・プランニング
代表取締役


 「法務局の話」

 前回、私が卓話をした時は、私の職業柄、遺言上のことで話をさせて頂きました。今日は法務局関係のことで話しをさせてもらいます。

 皆さんは既にご存知の事とは思いますが、注意していただきたいことを2〜3取り上げて説明させていただきます。

 法務局に行きますと、不動産登記簿(土地・建物の台帳)があります。3部構成になっており、表題部と甲区、乙区(丙、丁もある)とあります。

 表題部は土地の所有・地番・地目・面積などを表し、甲区欄はその所有権を、乙区欄は所有権以外の権利、例えば抵当権とか質権とかの登記が表されています。

 この際、気をつけて頂きたいのは、謄本を取ると表題部の右脇にページ数(枚数)があって、そこに所長の印が押されます。受け取った時、必ず印のある枚数と実際の枚数が合っているかどうかを確認してください。

 枚数不足の場合は抜き取られたことも考えられますので、十分注意して頂きたい思います。

 私たちが法務局行き、登記簿台帳を閲覧する場合がありますが、謄本には二面性があることを覚えておいて頂きたいと思います。

 一つは公信力といい、謄本上を信用して売買の契約をしたとか、またはお金を貸してしまったような場合、役所(国)は責任を負うかというと一切責任を負いません。

 従って法務局でうたっている所有者とか所在とかは只、参考に見る程度で、所謂、公信力がないということです。

 もう一つは対抗力といい、これは自分の名前が法務局の台帳に載っていれば、第3者に対し対抗できるということです。

 民法では契約は口頭でも成立します。そうすると法務局の台帳に記載されてなくても、既に二重売買されているケースも考えられます。即ち、二重売買されている場合もあり得る訳です。

 地方の場合は仲介者を信用してやっており、それほどのトラブルは生じませんが、地面師や詐欺師にかかると全くお手上げの状態にもなりますので、皆さんも十分、気をつけてください。