鈴木邦彦会員 2015.12.16          Topに戻る
 
「インフルエンザについて」
 ・インフルエンザの症状
 インフルエンザはかぜ症候群の一つであるが、全身症状や高熱を伴う点が普通の感冒と異なる。典型症状は、突然の発症・38℃以上の高熱・上気道炎症状。呼吸器症状・全身症状である。典型的症状を呈さないケースも少なくない。特に高齢者では、微熱にとどまることが稀ではない。

 インフルエンザに随伴する異常行動が起こることがある。特に10歳代の子供に起こる。
事故発生を未然に防ぐためには、患児の厳重な観察が必要であると思う。

 ・インフルエンザの診断
 インフルエンザは臨床症状のみでの診断は必ずしも容易ではなく、迅速診断キットが有用である。キットは年々改良され、また検体採取者の技量も上がってきて、感度・特異度ともに向上してきている。但し、発症早期のウイルス量が少ない時期には迅速診断キットが、陰性で半日~1日後に陽性化することがある。

 ・ワクチン
 インフルエンザ予防の基本はワクチンである。
ワクチンの予防効果に疑問を持つ人もいるが、全般的にはワクチン接種群の方が非接種群よりインフルエンザ発症率が低く、ワクチンは有効と考えられている。

 「接種したからといって100%インフルエンザに罹らずにすむということではない」が罹患しても重症化予防が期待される。このようなことから、積極的に接種したのが望ましい。
ワクチンを注射いると副反応が起こることを恐れて接種しない人もいるが、ワクチンの副反応としては局所反応で、殆どで一過性である。

 ワクチンの適応は、予防接種法で推奨されている者、即ち65歳以上の高齢者・60~64歳で基礎疾患を有する者(心臓・腎臓・呼吸器・免疫機能不全など)であるが、医学的に接種が不適当な者を除けば、インフルエンザ発症と重症化を防ぎたい者すべて(特に重症化や合併症のリスクが高い者の家族や医療従事者など)が任意接種を考慮するとよい。

 接種不適当者は「明らかな発熱(通常37.5℃を超える場合)を呈する者・重篤な急性疾患に罹っていることが明らかな者・予防接種液の成分によってショック、アナフィラキシーを起こしたことが明らかな者・その他予防接種を行うことが不適当な状態にある者」等である。
抗インフルエンザ薬には、経口・吸入・点滴注射・長期作用型吸入の4種類がある。

 ・感染対策
 インフルエンザウイルスは水分を含んでいるので、2m以上は飛ばないと言われており、従って空気感染はしない。

 インフルエンザ拡散の阻止には、感染経路の遮断と感染者の隔離が必要である。

 インフルエンザウイルスは解熱しても数日間は残存する。学校・幼稚園・保育園では、解熱後最低2日間は休ませる。

 ・学校保健安全法
 インフルエンザの流行は、学校内感染は非常に大きな役割を果たしている。学校・幼稚園・保育園では、第一罹患者に続き短期間に連続的に感染が広がる。
罹患者の出席停止や学級閉鎖、休校は感染拡大の抑制に有効とされている。

 学校保健安全法では、インフルエンザを発症した後5日経過し、かつ解熱した後2日(幼児では3日)を経過するまで。日数の数え方は、その現象が見られた日は算定しないで、その翌日を第一日とすることになっている。しかし、医師が感染の恐れがないと認めたときは、この限りではないとされている。
 ・家庭内感染
 インフルエンザの流行に家庭内感染は大きな役割を果たしている。家庭内での感染率を低下させるためには、発端者への早期治療と他の家族への接触機会を減らすことが重要である。

 患者の隔離、患者へのマスクの着用は一定の効果があることは定まっている。患者以外の家族の通常マスク着用・うがい・手洗いの効果については、評価は定まっていない。
 

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