瀬戸隆海会員卓話1996年4月10日
職業分類:仏教
(宗)報国寺 代表役員住職
 「お香の話」

 短い時間ですので一寸した仏事のお話をさせていただきます。

 皆さんは、お香は仏壇にあげる、或いはお悔やみの時、使うか、そういった時しか触れる機会はないかと思いますが、お香の効用というものは、いくつかございます。

 その中に、人間の災いを焼き切ってしまうと言う相乗効果もあるのではないかと、思うわけです。
 人間の煩悩と言うものは、身と言葉と心、即ち自分の身体と口、そして自分の心の中のものが左右し、自分で分からないながら人に迷惑をかけてしまうことがあります。

それは心の中に安らぎがない為に起こってしまうのではないかと考えられます。では、心の安らぎを求めるには一体どうしたらよいのでしょう。

 それにはお香を焚き、その芳しさをかぎながら心を休めるというのも一つの方法ではないでしょうか。そのためには安いお香ではなく、良いお香を焚いていただきたいと思うのです。

 実はお盆の頃になると、良くこんなお話をさせていただいています。
 「皆さんのお宅では一体どのくらいのお金を払ってどんなお香をお求めになっておられますか・・・」と、聞きますと一把50円のお線香をあげていますという方、或いは一箱千円とか、二千円とか、色々ございます。

 お線香一把50円のもので考えますと、一把で約100本位ありますから、1本で大体50銭にしかなりません。わずか50銭でご先祖様に「ありがとうございました。これからもよろしくお願いします」とお祈りするわけですからなんとも虫のよい話ではないか、と私は思うのです。

 安いお香を焚きますと、家の中に変なにおいが漂ってしまいます。ぜひとも良いお香を焚いていただきまして、それがご先祖様の供養につながり、そしてまた、ご自身の或いは家の中の安らぎにもなるよう、お香をその様に使っていただければと考えております。