米山奨学生 全 志英さん 2011.10.12


 現在の研究テーマは「韓国の観光農園における地理学的研究―韓国密陽市山内面を事例に―」です。

 本研究では、韓国の慶尚单道密陽市山内面を事例に取り上げ、観光農園の成立過程や地域特徴を明らかにし、この地域に来る訪問者を対象に観光行動を把握し、観光農園について考察することを目的としています。

 研究対象地域である密陽市山内面は昼と夜の気温差が大きい盆地地域であり、この気温差を利用し、1973年からリンゴを栽培しました。

 1980年代から本格的にリンゴ栽培がはじまり、現在はこの地域の全体の80%以上がリンゴを栽培しております。

 そして、この地域のリンゴは他の地域とは異なる気温差でリンゴを作るため、甘さが高く、高い値段で売られ、2006年には地理的表示(地理的表示制:ある商品の品質や評価が、その地理的原産地に由来する場合に、その商品の原産地を特定する表示である。

 条約や法令により、知的財産権のひとつとして保護される。)第24号に登録されました。これによって、リンゴがブランドになって、地域活性化に良い影響を与え、2000年代に入って、帰農者が増えてきました。

 また、この地域は韓国の天然記念物224号オルムゴル(氷谷:標高600~750mの谷、約9000坪の地帯。また、大地から熱気がどんどん熱くなる3月初旬に氷が凍り始め、7月中旬まで維持され、秋になるにつれ岩の隙間からの冷気がなくなる。)があり、ヨンナムアルプス(嶺单アルプス)という別の地名で1000mの山々があります。

 それで、夏にはオルムゴルに来る観光実と春・秋には登山実が来る観光地域であります。これを利用して、リンゴ農家は観光実が通る国道沿いに直売所を作り、農家が個人でリンゴを販売しております。

 さらにこの地域の大きな組織である「オルゴルリンゴ発展協議会」の主催で、毎年10月末にオルゴルリンゴまつりも行われています。

 したがって、私の研究対象地域は農村地域であり、個々のリンゴ農家が他のリンゴ産地とは異なるリンゴの流通プロセスで、地域の観光資源に訪れる観光実を良く利用し、リンゴの販売網が広がっていきました。

 また、リンゴ農家から「オルゴルリンゴ発展協議会」組織を作り、行政の政策に頼らずにオルゴルリンゴの広告や祭りなどを開催しております。

 また、調査の道中でありますが、農村空間の中で大きく分けて、三つの要素があり、地域住民(リンゴ農家)、組織(オルゴルリンゴ発展協議会)、観光実がそれぞれ関連性があって、お互いに影響を与えながら、発展していくということを、これから言えるだろうと考えています。

 これから、日本の飯田市にある観光農園も調査する予定です。結果がどのようになるかは分かりませんが、日本と韓国の観光農園について比較論文が書けるように頑張りたいと思います。

 目指しているのは、大学教授になることであります。しかし、博士号を取った後にすぐ大学に行くことより、まずは研究所である程度の研究の实績を積み重ねたいと思います。

 研究のメインになる地域は、日本と韓国にし、日本と韓国の架け橋としての役割も充实にしていきたいです。

 韓国で、自分が日本で学んだことを学生に教え、実観的に日本のことを理解していただきたいと思っています。また、将来の研究地域は日本と韓国のみならず、アジア全体を対象地域にし、アジア地域の専門家になりたいと思っています。