2008−2009年度 国際親善奨学生 七尾友美子様 2009.11.18

プロジェクターによる卓話、ありがとうございました。
 
 はじめに、英国での一年間の留学をサポートしてくださったロータリー財団、スポンサークラブ、ホストクラブに深く感謝申し上げたいと思います。この経験は、私の人生にとってかけがえのないものとなるでしょう。ロータリーの活動を通じて、たくさんのすばらしい出会いに恵まれました。

 また、独特の文化を持つウェールズの地域社会と交わる機会を与えていただいたことに、深く感謝申し上げます。ウェールズの人々は、その穏やかな気候のように本当にやさしくフレンドリーで、そのような環境に包まれて過ごすことができたのは、本当に幸運なことでした。

 短い間でしたが、ウェールズの人々と一緒になって、ウェールズのラグビーチームを応援しながらウェールズのビールを飲み、ウェールズの国家を歌い、ウェールズの地域社会の一員となれたことが本当にうれしかったです。

1. カーディフ法科大学院での勉強について
 LLM in Commercial Law(商事法における法学修士)コースに在籍し、国際商取引法、知的財産、競争法、商事法務について学びました。この科目を選択した理由は、この法科大学院での留学の中心テーマが知的財産法であり、その理解に必要な周辺法等も合わせて学ぶためです。授業は、週1 時間のレクチャーと、ディスカッション中心の週2 時間のセミナーが交互に行われました。

 膨大な文献を読み込んでセミナーでディスカッションし、頻繁に課される論文をこなしていったことで関連法の仕組みと適用の実際を理解することができました。さらに、それら周辺法における学術上の論点や実務における問題点について分析し議論することができるようになりました。

 これら4つの科目の履修で得たことをすべて生かして、知的財産に関する修士論文を書きました。テーマは高級ブランド品の商標権を侵害する模倣品に対して、EU と日本が打ち出している新たな法的取り組みが、複雑な流通経路を持つ高級ブランド品の模倣品に対して有効に機能するかどうかについて検証しました。

 このテーマを選んだ理由は、私がモード誌の編集者として働いていた際に高級婦人服を含む高級品市場について常日頃取材をしていたために知識があり、高級ブランド品の模倣品による深刻な被害状況を目の当たりにしていたため、問題意識を持っていたからです。

2. 国際親善奨学生としての活動内容
 とくに意識して日本的なパフォーマンスをしようというよりは、むしろ、自分らしく、自分の視点から見た日本を紹介するよう努めていました。ウェールズのロータリークラブを訪問していると、必ず日本と仕事などで係わったり、来日経験のあるロータリアンが複数いらっしゃいました。

 その方たちに日本に関する思い出を教えていただくのがとてもうれしかったです。多くの方の日本に対するイメージは「ハイテク」と「自動車」が主でしたので、私は機械関係が大の苦手で、デジカメはこの留学が決まって人生で初めて購入したと言うととても驚かれました。

 イギリス人が抱く日本についてのイメージがかなり偏っていることも実感されました。たびたび、「日本人は毎日寿司を食べているのか」「日本には牛や羊はいないんじゃないのか」「日本ではチーズは食べないだろう」と聞かれ、日本ではフランス料理やイタリア料理も人気があると答えるとそれにも驚かれました。

 日本での生活が多様化しており、文化面においても、イギリスで流行しているものはたいてい日本でも流行している、ということが思った以上にイギリスでは知られていないことに、私も驚かされました。

 私の日本についてのプレゼンテーションによって、日本は新しいことも伝統的なこともうまく取り入れて多くの選択肢の中で生活をしているから、いまやステレオタイプで語ることはできないし、日本とイギリスがグローバル化の中である程度同じものを共有している、ということが伝わっていればよいと思います。

 私は着物が好きなので、ロータリーの行事にもたびたび着物を着て出席していました。着物や伝統衣装に関する質問に答えたり、着物のめずらしさから喜ばれたりするのはとてもうれしかったです。そうしているうちに、あるロータリアンから、個人的に主催している音楽会に大事な貴賓が来るので、着物を着てぜひ出席してほしい、とリクエストを受けたのはとても光栄でした。

 ロータリーに関する行事は、ロータリアンの奥様たちの組織「インナーウィール」でプレゼンテーションを行うなどの交流も含まれました。

 ロータリアンの奥様たちとは普段ロータリーの枠を超えた友人としてのお付き合いもさせていただき、留学期間を通してずっと励ましていただきました。このように、地域に深く溶け込むことができたのは、やはりロータリー奨学生としてロータリークラブのサポートがあったからこそ、と思います。

3. ロータリーとの今後の関わり合い方について
 スポンサークラブ、ロータリー財団、ホストクラブとの縁を今後も大事にして、自分の経験をロータリーを通じてつながるさまざまな方々と共有したり、経験談を交換したり、私にできる形で親交を続けてゆくことができればよいと思っています。