青木 智也様 2008.11.19

「いばらぎじゃなくていばらき」
プロフィール
 1973 年、茨城県常総市(旧石下町)に生まれる。
 県立下妻一高卒後、都会に憧れて明治学院大学社会学部へ。卒後、ソフトウェアメーカーに就職し、1年半の横浜勤務をしたのち、茨城へUターン。

 帰郷後は派遣社員などをする傍ら、茨城bPのサイトを目指しホームページを立ち上げるが、志半ばで頚椎骨折という大事故を起こす。九死に一生を得て社会復帰を果たしてからは新たな人生観のもとでホームページを『茨城王(イバラキング)』としてリニューアルオープン。1日1000 アクセスを誇る人気サイトとなる。

 2004 年には初の著書『いばらぎじゃなくていばらき』、2006 年にはその続編にあたる『続いばらぎじゃなくていばらき』を出版。現在は執筆、講演、ラジオ出演などの他、「茨城」をテーマに幅広い分野で活躍。
【中途半端は多様性の証】
 関東の中でもどこかマイナーで、全国的にも「特徴のない県」と思われている茨城県。そんな茨城ですが、実は何でも揃っていて豊かな県なのではないかと私は思っています。

 自然環境では、海、山、川、湖、田畑と何でも揃っています。長い海岸線、八溝山系〜筑波山、南西部に広がる平野、南東部は霞ケ浦、そして、一番南には日本一の大河利根川。実にバラエティー豊かです。

 街だって負けていません。歴史と文化の薫り漂う水戸、工業都市の日立や鹿嶋、研究学園都市つくば…などなど。中規模の都市がまんべんなく点在するのが茨城の特徴です。


【弱すぎる茨城ブランド】
 茨城は、全てにおいて多様すぎるからこそ、飛びぬけたものが生まれにくく、どうしても中途半端な印象になってしまっているのが残念でなりません。

 しかも、茨城県民は良くいえば謙虚、悪くいえば口下手です。都会へのコンプレックスも強く、あまり自分たちの県をPR したがりません。

 また、観光を中心とする県などとは違い、田畑で何でも作れて食べるものに困らないという農業県としての恵まれた環境にあったため、自分の県をPR する必要性があまりなかったこともPR 下手と大いに関係していると思います。


【茨城の魅力を再発見】
 何でもあるが中途半端な印象の茨城県ですが、私は『茨城王(イバラキング)』というホームページを運営するにあたり、明確なキャラクターを打ち出すことが必要だと考えました。

 そこで、日本で最も影響力があり、しかも茨城に最も近い都会である東京と比較することにしたのです。茨城単体で見るとあまり見えてこなかった特長も、東京と比べることで、はっきりとした違いとしてあらわれてきます。

 その中で私が最も興味を持った「茨城らしさ」の一つが茨城弁でした。茨城弁は人によっては荒っぽくて怒っているように聞こえるといわれますが、私は素朴で温かみがある癒し系の言葉だと感じています。それは茨城の県民性そのものだと思います。

 また、普通に話しているのにどことなくユーモラスに聞こえてしまうのも茨城弁の魅力です。『茨城王』には「茨城弁大辞典」というコンテンツがありますが、腹を抱えて笑ったという話をよく耳にします。

 正直、昔は茨城弁がダサくてイヤだと思ったこともありました。でもそれは自分が田舎者だと思われるのが恥ずかしいという私のコンプレックスからきていたもので、東京暮らしを経てコンプレックスなどキレイに吹き飛んでしまった今の私は、むしろ田舎に誇りを持っています。

 そして、今では茨城弁をテーマに講演をしたり、茨城弁のグッズを作ったりするなど、茨城弁の伝道師といってもいいような活動をしています。

 『茨城王』を開設して8 年が経ちますが、これからも茨城のディープな情報を提供し、この活動をライフワークとして続けていきたいと思います。