山岡時生様 「欧州と日本の職務文化の違い」  2007.8.8

山岡時生様 「欧州と日本の職務文化の違い」
略歴 昭和41年生まれ(40歳)
平成18年7月 財務省関税局参事官室(WCO)現職
平成15年6月 在ベルギー日本国大使館一等書記官
平成14年5月 東京税関業務通関部門 統括審査官
平成13年7月 財務省関税局国際機関課(ASEM)
平成12年7月 財務省関税局国際機関課(WTO)
平成9年7月 UNCTAD事務局(ジュネーブ)
学歴 平成6年3月 筑波大学大学院 経営政策研究科終了
平成元年3月 京都大学農学部卒業
 妻の劉淑文(りゅう しゅくぶん)が15 年ほど前に米山奨学生としてお世話になりました。そのご縁で、ロータリークラブで話をさせていただく機会をいただき光栄です。

 簡単に職務経歴について紹介させていただくと、平成9 年から、スイス・ジュネーブにあるUNCTAD(国連貿易開発会議)において、WTO(世界貿易機関)に加入したいとする途上国への技術支援、特にベトナム、ラオス、カンボジアを担当しました。日本に戻った平成12年からは、財務省にて、WTO、特に中国のWTO加盟問題を担当し、日本政府代表団の一員として中国との交渉に携わりました。

 さらに平成13 年からは、アジアと欧州の協力を目的としたASEMの中で税関分野での担当となりました。平成14 年からは東京税関の通関部門において、農産物の輸出入に携わりました。

 税関では、分類、評価等の問題があり、特に分類については、関税率決定に関わるもので運用は大変難しいものがあります。平成15 年からは外務省・ベルギー大使館に出向となり、ベルギー・ブラッセルにおいて、世界の税関の制度等を調和・簡素化することを目的とした税関に係る国際機関であるWCO(世界税関機構)の担当となりました。

 WCOは、分類、評価、セキュリティ、貿易円滑化、監視等の分野における分野を各国税関と調整しています。

 欧州に6 年住んだ経験等から、欧州と日本の職務文化の違いについて話させていただきたいと思います。

 一つは、サービスに関してサービス提供者と消費者の認識が大きく異なっていると思います。日本であれば、家電量販店にいくと、店員は商品についての知識は大変細かく知っており(そのような教育を受けており)、大概の質問には答えてくれます。一方、欧州では、担当者も、商品に表示してある説明以上は知らず、調べるといってもマニュアルを持ってきて読み始める始末です。

 ただ欧州では消費者もそれほど多くのことを聞くようでもありません。また、大使館においても秘書などは現地人を雇っているのですが、よっぽど例外的な場合を除いて残業はしません。EC官僚なども忙しいは忙しいのですが、それほど勤務時間は遅くはないようです。

 よく経験したのは、日本代表としてECに対し質問をしたとしても、彼らは自分の仕事のプライオリティに従って仕事をしますので、回答は相当遅くなってしまいます。一方、親としての欧州人は親切で、家族や友人との時間を非常に大切にしているとの印象をもちました。

 こうしたことを背景に、消費者としてもサービス提供者に対する期待は低いのではないかというのが感想です。また、組織についても、日本の(特に国内官庁)職務組織は重層的なピラミッド型であるのに対し、WCOやECなどでは、担当者がほとんどの責任を持っています。

 国際的な取り組みを行う場合うには迅速な意思決定が必要であり、そのような平べったい組織の方が機能的であるように思われました。