外部卓話 筑波大学大学院生命環境科学研究科講師 安達修子様
2006年10月11日例会
地球生命の進化と地球温暖化について

地球温暖化の自然・人間システムへの影響
異常気象 ・最高気温の上昇や熱波の増加
・洪水の規模と頻度の増大、土壌浸食の増加
・夏季の乾燥と干ばつの増加
・エルニーニョ現象に関連した干ばつや洪水
水資源への影響 ・人口増や水利用の増加により、衛生的な水を確保できない人々が、2025 年には途上国を中心にして50 億人に増加
農林業への影響 ・熱帯では、一部の作物は気温の僅かな上昇で生産減少
・気温上昇で、世界の食糧需要の増加に供給能力が追いつかず、食料価格が上昇
・干ばつの増加で農作物生産が減少
・乾燥で森林火災のリスクが増大
生態系破壊 ・気候変化による生態系の深刻な崩壊
・絶滅危惧種の絶滅のリスクが増大
・サンゴ礁、マングローブ、湿地などの沿岸生態系の損失
海面上昇、沿岸域の被害 ・2080 年代までに40cm 海面上昇する場合、高潮により水害を受ける年平均人口が7500 万〜2 億人に増加
・海面上昇によるインフラへの損害はエジプト、ポーランド、ベトナムなどの国で数百億ドルにも及ぶ可能性
経済損失 ・異常気象による経済損失は、50 年代の年間39 億ドル( 約4700 億円) から、90 年代の年間400 億ドル( 約5 兆円) へと10.3 倍増
健康への影響 ・熱中症の増加、熱波による高齢者や貧しい人々の死亡
・マラリアやデング熱などの伝染病の流行域の拡大
・洪水増加で溺死、下痢などの増加、途上国の飢餓や栄養失調の悪化
・低収入で脆弱な人々( 特に熱帯・亜熱帯の国) の健康へ大きな被害
・低収入で脆弱な人々( 特に熱帯・亜熱帯の国) の健康へ大きな被害
南北格差 ・温暖化の影響には特に途上国が脆弱で、先進国と途上国の福利の格差が拡大
破滅的な変化の可能性 ・海洋循環の大規模な遅れ、グリーンランドや南極の氷床の大規模な崩壊、メタンハイドレートの放出など、急激な変化の可能性
・極地域の気候変化はひとたび始まると数世紀にわたって続き、氷床、海洋循環、海面水位の上昇に不可逆的な影響